苔採りのルール

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海にも山にも自然界のルールというものがあります。 お互いを傷つけないためのルールです。

ここでは、店主が体感で受け取った山のルール、特に苔を採集するときのルールについて詳しく書かせていただきます。
 

ルールの前提

以下はネットや書籍などの情報源によらず、あくまでも店主の感覚に基づいて打ち立てたルールです。

苔は山でも街でも、時に海辺ですら様々な種類を見つけることができますが、必ずそこに生を受けている理由があり、それを一時の想像で推し量ることはまず不可能です。ですから基本は「むやみに採らない」のが自然にかなっていると言えます。
でも、もしかするとそこにそのまま生えていたら何かの都合でごっそりと剥ぎ取られたり、よしんば廃棄されたりすることもあります。特に街に繁茂する苔はそうです。
人間が自然環境から何かをいただいて生活することもまた自然なことですので、変に遠慮しすぎず必要なものは節度を持って得ていけばよいと考えています。実際、衣食住のみならずあらゆるものは自然環境からいただいているわけですから。

また、私たちのような苔に携わることを生業とする者にとって、山の恵みはとてもありがたい宝物ですし、なんといっても天然の苔は生命が織りなす様々な表情を持っていてとても魅力的です。
一体、苔にどれだけの需要があり、どの程度の採集なら環境に悪影響が出ないのか正確にはわかりませんが、全体のほんの、ほんの少しだけ分けていただくという意識は忘れてはならないことだけは確かです。

下記の説明に「採ってもいい苔」や「採ってはならん苔」などの表題がありますが、これは苔の種類ではなく状態で全てを判断しています。科学的根拠は全くありません。

採ってもいい苔

1. 剥がれている苔
動物が地中の餌を探して剥がしてしまった苔や、何かの拍子に剥がれ落ちてしまった苔の群落は放置しても枯れてしまう可能性が高いです。
次第にバラバラになり風で撒かれて種苔(たねごけ)になりますが、自然に根付くかどうかは半々でしょう。
しばらくしてその場所を訪れると、跡形も無くなっていることがほとんどです。店主はこのような苔を優先的に採取しています。
このような苔は、採取する必要がなければ裸足でグイっと踏んづけてあげることで用土に圧着されて復活の機会を得ることができるかもしれません。

  
2. 他の苔に負けそうな苔(条件あり)

苔たちは常に激しい生存競争をしています。よく見ると、2種類以上の苔が絡み合ったりある苔がある苔を突き破って繁茂している様子が観察できます。その場所が生存に適している苔同士なら、成長の早い方の苔が圧勝します。
たいていの場合、先に来た成長の遅い苔を依代にして、後から来た成長の早い苔が圧倒していきます。
せめぎあっている時もありますが、完全に勝負がついている時もあります。
お目当の苔が見るからに劣勢であり放置しても飲み込まれるだけのようなら、飲み込まれてなくならないうちにその苔を採取します。
趨勢がわからない時は、様子見です。

採らなくてもいい苔

1. 頼りない感じで生えている苔
チンマリとしていて愛らしかったり、採りやすそうなところにチョコンと繁茂している苔を見かけると、心理的につい採りたくなりますが、かわいそうなのでそっとしておいてあげます。その様が気に入った時は撮影しておいて新しい盆栽を作る際に模倣します。

2. なんとなく、採って欲しくなさそうな苔
見つけた時になんとなく「あ、採らないでね」という意識を感じる苔があります。もちろん採りませんが、採取に夢中になっているとこの微妙な意識を受け取り損ねることがありますので、静かな心での採取を心がけます。

採ってはならん苔

1. 大きな群落から少し離れたところにある小さな群落
これはその苔の群落が生息地を広げるために送り出した大切な苔です。たとえ拳大の小さな群落でもそこまで来るのに数年かかっています。群落が大きくなれるかどうかも、その飛び地の群落にかかっているのです。何があっても絶対に採ってはなりません。

2. 何故かよくわからないが、とって欲しくないという強い意識を感じる苔
このケースも苔との意識コンタクトでわかります。たとえ苔採りにかなり夢中になっていたとしても、この強い意識は感じることができると思います。見た目には全く区別がつきませんが苔には要となる群落があるようで、そのような苔からこのような意識が発せられるようです。

絶対してはならないこと

1.群落を全て根こそぎ採取すること
自然の中なのだから、そのうち再生しそうなものですが実際は何年経っても再生しません。

その他の細かいルール

  • 採取は必要最少限に抑える。
  • 必要かどうかよく考えてとる。
  • 取りかけたらちゃんととる。やっぱりやめたはナシ。
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