ボツになったオリジナル鉢案 〜コストと形の試行錯誤〜(1)

苔ポンの鉢は永遠に未完成

100均仕入れから始まった苔ポンの鉢遍歴

最初期の苔ポン本店。すべてが手探り、試みの塊。

資本金2,000円から始まった苔ポン。鉢は市販品のごく安価なもの以外に選択の余地はありませんでした。

最初の最初、記念すべき第1回路上販売の際は鉢を購入する資金が足らず手持ちの未使用鉢も動員してなんとか数を合わせたほどでした。

ご存知のとおり、昨今の100均商品は一昔前とは比べ物にならないほど品質が高く品数も多いため選ぶことに労力がかかります。

数日はよさそうな鉢を数種類購入して売れ行きのよいものを採用していくという、手探りでの選抜を行い最終的にある品のよい蕎麦猪口(ソバチョコ)へとたどり着きましたが、当たり前のことながら蕎麦猪口には底穴がないため断腸の思いで数千円の陶器用のドリルを購入し、1つ1つ手作業で底穴を穿っていきました。
※この蕎麦猪口の底は非常に硬く分厚く苦労したのを覚えています。(安物感、全くありません。本当に丈夫!)

100均に数十個単位で蕎麦猪口を発注する日々

すばらしい蕎麦猪口のおかげもあって苔ポンの販売は順調で、週に1度は数十個の発注をするほどになりました。

しかし、商品の入れ替えが早くいつ取り扱いがなくなるかわからない100均の商品にいつまでも依存しているわけにもいきませんし、何より穴あけが本当に大変でしたしやはり蕎麦猪口は蕎麦猪口。

盆栽には盆栽用の鉢がよいのはいうまでもありません。

ということでまず、苔ポンにはどのような鉢が適しているのか?自分なりにその理想像を思い描いてみることにしました。

オリジナルの盆栽鉢をデザインしてみる

まずはじめにこれが究極!という理想の形を2案、曲線の比率にまでこだわって仕上げてみました。

単価1,000円ちょっとの苔ポンですが、鉢はプロポーションだけでも最高級品と同等のクオリティにしたいと考え、苔ポンと同サイズ(3号前後)と小ぶりながら数万円で販売されている盆栽鉢をひたすら研究しました。

そうしてできたのがこのデザインです。

試作品を制作するべく焼き物の本場、三重県四日市市の窯元さん数件にお話を伺ってみたところイニシャルコストの段階でその日までの苔ポンの全売り上げを軽く上回っており、また生産できたとしても苔ポンの原価が現実的ではない額になってしまうことがわかり、オリジナル鉢の量産は即日頓挫してしまいました。

ちなみに冒頭の画像の宇宙船のような鉢もこの試作の段階で考案したものです。平らな場所に置くと、ちょっと浮き上がったように見える鉢が面白いかもしれない!と3Dに起こしてみましたが、他の案を考えているうちにその存在を忘れてしまいました(笑)

ふりだしに戻り、市販の鉢から苔ポンのコンセプトに合う鉢を厳選

在庫の安定確保のため国内品にこだわる

時代は国外からの格安仕入れが当たり前ですが、鉢はコワレモノでしかも重量品であるため破損などの歩留まりと過重量による多額の送料を考慮すると1000個単位の大量仕入れが前提となります。

当時の苔ポンは私一人の手で作っており大量生産する前提の商品ではありませんでしたから大量仕入れには向かず、割高とわかりつつも国内からの数十個単位での仕入れになります。

そしてある問屋さんからサイズ、デザイン、質、価格の4拍子揃った1つの鉢を探し出しました。余談ですが、これは私にとって人生初の問屋さんからの「仕入れ」でした。

そうして完成したのが、この苔ポン。苔ポンの第2世代となります。

いくつかの試作を経て最終的に苔の周囲に砂を敷き一旦完成とし販売させていただきましたが、この鉢は鉄鉢(てっぱち)といい上部が開いている形状であるため一定以上傾けると当然中身がおんまけられてしまいます。

薄いプラスチック製の蓋にそれを抑えられるほどの効果はありません。

苔ポンは無人販売。そしてそのお客さまは旅行の思い出としてご購入してくださる方がほぼ 100% です。

しかし、上記の理由から当時の苔ポンはお土産としてはとても持ち帰りにくいもので、これは100均蕎麦猪口の時からの大きな課題でした。

搬送中にひっくり返ってしまった苔ポン(第1世代)

やっぱり、先のオリジナルデザインのような上部のすぼまった形状(丸鉢)でなければ…

 

ボツになったオリジナル鉢案 〜コストと形の試行錯誤〜(2)へつづく…