ボツになったオリジナル鉢案 〜コストと形の試行錯誤〜(2)

しばらくは第2世代で販売を続行

奇跡のご縁!偶然に窯元と出会う

苔ポン第2世代の頃は百万遍をはじめ、京都各所で催される手づくり市での販売を試みている時期でもあり、シーズンには毎月のように出店していた。

最初ここでも無人販売を試みて、「ちゃんとコミュニケーションしてください」と注意を受けたことがあります(笑)。

「盆栽は象徴伝達コミュニケーションです」と言っても通じるわけないのでおとなしく店に立つことに…

そしてある日、なんと偶然第2世代の鉢の窯元に出会う。

苔ポンをマジマジと眺めるシブい中年男性。

窯元さん
これ、面白いねぇ。ところでこの鉢はウチの鉢だよ?
仕入先(問屋)は○○さんでしょう?
あ、はい。そうです。ありがとうございます。(うわ!本物だ。)

名刺をくださり「いつでも連絡を」とのことでしたが、その後第3世代が誕生したのでいまだお取引には至っていないけれど、いずれまた何かの機会にご一緒させていただきたいと思っています。

コミュニケーション、大事!

この偶然のどの辺りが奇跡なのか?

鉢の卸問屋さんが顧客に窯元を紹介することは通常ありえないため(仲買をパスされてしまうため)贔屓(ひいき)の鉢の窯元に偶然出会えるのは、業務上の奇跡以外の何物でもないと思っています。

第2世代はデザイン、趣を優先したがため商品としては取り扱いづらかった

問題があるのはわかっていたけれど、打つ手もなく辛い日々

当時、購入を見送られるお客様の理由トップが、

 

お客様
うーん。欲しいけれど、持ち帰りにくそう。

 

でした。これは本当に双方が残念でやりきれませんでした。

委託販売をお願いしている取引先からも「砂利が飛び散ってしまい扱いにくい」などの苦情が入ってきていましたし。

ツイートなどを見ると帰りにひっくり返してしまった人も若干みうけられ申し訳なく、心苦しかった。

 

これはマズイ。せっかく苔ポンを気に入ってくださったのに申し訳ない。

 

しかし、よい鉢がなかなか見つからない!

取り扱いやすい上すぼまりの「丸鉢」の卸値は鉄鉢の2倍以上

先の展開を考えると原価で無理をすると非常に苦しい資金繰りになることは目に見えているしなぁ…。

数量モノの鉢の原価設定について少し解説します

数量モノの盆栽鉢の多くは金型で作っている

第2世代で使用していた「鉄鉢」という形は鉢の上部が開いているから型抜き1行程で成形することができます。

しかし「丸鉢」は上部がすぼんでおり「くわえ込み」があるので型抜き1行程での成形ができないのです。

これが原価が倍になる理由。

しかし、これ以上お客様や販売店さんにそのツケを回すわけにはいかない。

いつかは必ずやオリジナル鉢をと心に決め、卸値2倍の丸鉢を苔ポンの鉢に採用することにしました。

BtoB なら数量割引があるでしょう?と思われた方へ

現在のところ数量割はありません年間たった1000個や2000個程度の卸で数量割引してもらえるほど鉢問屋さんは甘くはないのでしょう。

むしろ、何処の馬の骨とも知れぬ私たちに卸価格で販売していただけているだけありがたいことなのかもしれません。

ようやくたどり着いた第3世代

みんなハッピー?な苔ポンの第3世代

これならもし天地をひっくり返してしまっても落ちるのはツガの球果だけ。ツガの球果はつまんで元のくぼみに戻せば元どおり。

制作工程においても苔の形状を過度に整える必要もなくなり手間も苔も無駄が少ないだけでなく、見た目からその「持ち帰り易さ」が伝わるようになりまた、一段とプリティーになることで飛躍的にお手にとっていただきやすくなった苔ポン。

深さが増した分、直径を節約できるので一度に搬送できる量が増え、サイズ的にも手で掴みやすく陳列がスピーディーに!

などなど、お客様にとっても販売者にとっても生産者にとってもメリットしかない第3世代。(原価率が飛躍的に上がったあることを除けば w

植物にとってもメリットがある

軽く叩くと土鈴のような澄んだ音のする肉薄の素焼き鉢は軽く、薄く施された塗装のお陰で過度の通気による用土の乾燥も妨げられています。(あまり通気性のよすぎる鉢は乾燥を好まない苔の育成に向かないのです。)

そして、小ぶりの鉢なので樹木の根は鉢底と表土から入る酸素で十分育つことができるのも1年目の根の育成がその後の生長のネックとなる実生盆栽にとってはメリット。

まだまだ欲をいえばキリがありませんが現状でのベストはこの鉢であると確信しています。

第4世代となるであろうオリジナル鉢のデザインを手がける前にここまで、3世代の鉢での育成と販売経験を経ることは必要だったのかもしれません。